2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

戦略経営デザイン論12

日付
2011年10月20日 18:30~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
ケーススタディー:NTT・官から民へ/組織改革の実例
受講生の感想

記:奇二 正彦

第37回 記:奇二 正彦

今回の中西先生の講義は、楽しみにしていたNTTのCIプロジェクト紹介です。

子どもの頃、国鉄や電電公社が変わるというニュースをテレビで見た記憶があります。古くて問題いっぱいの組織が生まれ変わる際の、社会的葛藤がテレビから生々しく伝わってきました。今講義ではその舞台裏をのぞくことができるのですから興奮です。

・電電公社からNTT設立
・渋谷“The B”
・DoCoMo

の3つの事例を、豊富な資料と当時の雰囲気がわかる映像と共に解説していただきました。

●お上体質がすごい
電電公社からNTT設立、の事例で興味深かったのは、当時の電電公社のお上体質ぶりです。全国の電信電話局が支店や営業所に変わる際、「局長」という肩書きが変わると公的な権威が落ちてしまうとの懸念から、随分反対があったとか、電話局のお客様ロビーはなんと「公衆溜まり」と呼んでいたとか。びっくりです。

●アンケート
そうした体質を持つ従業員にアンケートを行うと、変化する事に前向きな意見は少なかったようです。つまり内発的な変化の意思が合意形成されていない組織を民営化し、サービス業化するプロジェクトだった訳です。

●設立に向けて行ったこと(一部です)
・NTT(日本電信電話株式会社/英称 Nippon Telegraph and Telephone Corporation)へと呼称変更
・グラフィックデザイナー亀倉雄策氏のデザインによるロゴ(ダイナミックループ)作製
・バラバラな名刺デザインの統一
・封筒類のシステム展開
・各地にある電話局のロゴの交換
・局カウンターのモデルチェンジ

など、実に100億円以上の費用がかかったプロジェクトの一端を垣間みました。

●デザイン戦略の根底にあったもの
トータルなデザイン戦略のベースには、「官から民」「独占から競合」「電信電話事業からサービス業化」という精神があったようです。先生が紹介されていた当時の資料からは、そうした精神、理念から一切ぶれないデザインが展開されていました。デザインって、こうやって価値を創造していくんだなと。

●わかった事
NTTのCIプロジェクト事例は、ただ時代をつかんだだけのイメージチェンジとは違うことがわかりました。その会社の使命とは何なのか、存在価値とは何なのか、将来に渡ってどのようなビジョンをもっているのか、そうした事を含めて展開したものだったのです。トータルなイメージ・マーケティングとはこういうことなのか…と目から鱗です。それがわかると、DoCoMoの新旧ロゴの違いがどこにあるのか、僕にもおぼろげながら感じることができました。

●考えさせられたこと
デザインはすごい。価値を作り、永続させるデザインが世の中にあるんだなと。
それに気づけてすごく嬉しい気持ちです。

で、考えてしまいます。では、これからの時代、永続させるに足る価値とは何なのか、と。
これを知りたい。これを作りたい。

そんなことを考えていたら、講義中、先生が「ゴールじゃなくてディレクションだよ」とおっしゃっていたことを思い出しました。つまり、どうあるべきかではなく、どこを目指すべきかなのだと。

だとすれば、僕は永続させたいと思うような価値を見つけたい訳だから、そのディレクションで、自分の目を磨き、比例する直感力で舵を取り、仕事をするのみです。昨日の自分より成長してゆけるように。「アメリカに行く」とか、地理的な飛躍というのは可能でしょうけど、己の理想の実現というのは、一生ものですね。

●質問した事
講義の中で、中西先生が「感じることは内的参加なんだ」とおっしゃり、気になったので質問をしました。私の理解では、例えば街中で素敵なサインを見ると、あまり気に留めず通りすぎてたとしても、すでにその人は無意識的にそのサインにひきこまれており、心ではある程度それをチョイスしているという事だと思います。それにより、そのサインとその人に微弱な縁が起こっている、と理解しました。わかる気がします。なんとなく、好感の持てるサイン、なんとなく懐かしかったり、ウキウキしたり、親しみのあるサインってある気がします。確か先生は仲間意識を起こさせるんだ、ともおっしゃったような…。非常に興味深いテーマです。

《STRAMD》

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