2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

戦略経営デザイン論3

日付
2011年04月28日 18:30~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
Prospectus10(1-5):自己デザイン/欲識/良い質問/価値創造/ディレクション
受講生の感想

記:奇二 正彦

第7回 記:奇二 正彦

今日の授業は、僕にとって切実な授業でした。
なぜなら、「企業や社会の変化」と「自己の変容」はつながっているという内容でもあったからです。

いま、短期的利益やうぬぼれた自信うんぬんの前に、足下が持続可能じゃなくなっています。

1972年 ローマクラブ「成長の限界」
1992年 地球サミット (リオ・デ・ジャネイロで開催)、
2010年 COP10 (名古屋で開催)
↑といった動きは、今までのシステムでは持続不可能というサインだと思います。
気づくも気づかないも我々次第。
今急成長している途上国もいずれ同じ運命ではないでしょうか。
各国は、FUKUSHIMAも含め、自分達の未来を日本に数多く見いだしているでしょう。

考え抜き、生き方を変え、連携し、戦略を練り、トライする必要があります。
そしてそのための第一歩は自分自身の変容なんだという、切実な授業でした。

以下、感じ入ったポイントを記します。

・企業理念よりも、「地球の為」「人類の為」などCSRが上位に出る社会状勢に。
・数の人→理の人→目の人→愛の人という風に企業目標が増殖している。
そしてそれらは全て経営資源。しかし投資効率の計算がしにくい。
しかし投資する必要、価値がある。経営者のセンスが問われている。

→STRAMDでは、そうしたアイデンティティレベルからの変革と実業の関係を、事例とともに伝えてゆく。

・PAOSの20周年(1988)を記念して作られたビデオ鑑賞。
街を埋め生活に紛れるデザインの質の向上の歴史。
松屋、KENWOOD、マツダなどの蘇業事例。
今見ても示唆に富んだ内容。

・日本型経営が21世紀の主役になるという意見も当時あったが、続かないと思っていた。
年5%以上成長が条件なら、21世紀には日本の地価が地球より大きい国となってしまう。

・狩・耕型マネジメント
日本→農耕型マネジメント(和、ふれあい、終身雇用、経験上位など)
欧米→狩猟型マネジメント(人は部品、会社は商品、個人ベンチャー尊重など)
これからは、上記二つをミックスさせた狩・耕型マネジメント。
→価値創造型人材
→獲物(価値創造)の成育、増幅、体制を持つ。
※狩猟から農耕文明へ発展したように、ビジネスでも。
→指針、価値体系の多軸化
※いくつもの答えがあるからこそ正しい

・生産革命→情報革命→市民文化革命の時代に
※生産革命は、マスを活かしていかに合理的に製品を提供するか。(近代企業)
※情報革命は、ITの進化                   (現代企業)
※マルチメディア、SNSなどの結果 市民革命        (21世紀型コスモポリタン企業)

・経営にdesign thinkingを!Prospectus10(今日は5まで)
1:ビジネスをデザインする前に「自分自身をデザイン」する
これだけ企業が頼りにならない時代。だからこそ未来のビジョンと、狩・耕型マネジメントを!
中西先生は学生にも、就職せずに起業をすすめ、ダメなら就職しなさいと。
スタンフォード大学のMOTでは院生の1/3近くが起業していたそうです。
だから我々も、五年後何をするか具体的な目標をたてるべき。

思うことは実現するが、思わないことは実現しない。だから強く思うことだ。

京極純一先生の民主主義の定義。「自主・自立・自前・自力」

中西先生が桑沢を卒業されて大学で学びを深めていた時、
自分の意見がなく、知識の紹介だけの先生に違和感。
明治時代、欧米の知識をいかに早く国内に持ち帰り紹介するかが大事だったので
歴史的なDNAあるのかもしれない。
→自分の意見をもって発信できるようになろう。

2:「欲識」を持ち、「直感力」を磨く習慣をつける
欲識とは何か。こういった順序があるそうです。
愚識→常識→知識→欲識→胆識

愚識とは、常識も分からないこと
常識とは、まさに生活を送っていくための常識。(尋常小学校=義務教育とは、
常識を尋ねると書く。今はただの小学校になってしまった。)
知識とは、普通以上の識見や自分の分野で専門的知識を持つこと。
欲識とは、使える状態で専門的識見を持っていること。
胆識とは、名人の世界。技術・経験・知識を総合し、直感の世界。
※ちなみにヒラメキと直感は違うそうです。ヒラメキはなぜそう思い至ったか説明でき、
直感は説明できない世界で、そして人生の最後まで、直感力細胞は増え続けるそうです。

練習方法→「どうして自分はそれを美しいと思ったのか」「なぜ汚いと思ったのか」を
考え抜くと、自分なりの理解がわかってくる。

3:答えを覚えるのではなく、「良い質問」と「答えの出し方を会得」する
それはつまり、知らない事を知る、ということでもある。
中西先生の例)松屋の事例。元々反物の巻芯の円部分に使われていたため百貨店マークのデザインが限定的。
重工業的な印象も与えるため、首覚悟で変更を提案。また、顧客第一主義とは何か                 を社員にしつこく問うて、それよりも今は集客第一主義の方が大事だということに至る。
PCAスクールをスタート。

4:価値創造成果を、「成功実証事例」から学ぶ
歴史を作るような仕事をしよう。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」
中西先生の例)MAZDAの事例。一店舗毎に独立したデザインだった。それを、全店舗標準化             したデザインに。トラックのデザインなどは、事故が16分の1に減った。名刺も含め徹底的にコストダウン。
Mind identity → Visual identity → Behavior identityの連携がCI
情報化社会では、イメージが半歩か一歩先を行き、実態を牽引するのが理想。
感性訴求、イメージマーケティング。

5:ゴールよりも「ディレクション」を常に目標とする
ゴールは変わる。例えばブリヂストン。当時はF1にふさわしいロゴや、
世界一のタイヤメーカーをディレクションに。
今は環境に貢献する会社。だから、振り返ると、ゴールはゴールではなく、ステップにすぎない。
常に理念、方針、指針を大切にすべき。

まさに新しいディレクションをする時代。
例)救急医療→対症療法→予防医学→根源療法

日本人はもっとストック発想を。行政のように、毎年予算を決め、使い切るのに合わせるのではなく、
色々な資源を翌年に持ち越す。3R(Recycle、Reduce、Reuse)的発想。江戸時代はまさにそう。
例)稲→ワラ→縄やミノ→俵やわらじ→灰→肥料となってまた稲にのサステナブル発想
フローからストック的発想を。

《STRAMD》

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