2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

先駆者に聞く-1:ファッションビジネス

日付
2011年04月23日 19:00~
場所
東京ミッドタウン
概要
ファッション・ビジネスにみる価値創造の”これまで”と”これから”
受講生の感想

記:杉 幸江

4月23日(土)「ファッション・ビジネスにみる価値創造の“これまで”と“これから”」講師:尾原蓉子先生

第5回 記:杉 幸江

ファッション・ビジネスのみならず、日本のビジネス全体のこれからに対して深いご経験からの力強いメッセージと共にお話をいただきました。

最初に、これからの日本を考えるための姿勢について2つのお話。
・ミラクル・リカバリー・・・第二次大戦後の日本のすばらしい復興の経験
・江戸時代の日本  ・・・自然と共存し、産業や文化を生んだ時代

ここからの内容はレジュメの内容も引用しながらできるだけ網羅して書かせていただきます。

■はじめに:「ファッションビジネス」は『価値創造』のビジネス
ファッションは生活の中に必須のものではない、日常衣料としての服だけで充分という見方もある。しかし、生活の中の心の豊かさ、生活文化を提案するものとして存在しているもの。『価値創造』のビジネスである。

■1.「ファッション・ビジネス」と私 ――価値創造に関わってきたキャリア
1955年16歳でアメリカに渡られたことに始まり、FIT、ハーバードビジネススクールで学ばれたこと、これまで日本のファッション・ビジネス振興と人材育成に尽力されてきたご経験からのポイント。
・プロフェッショナル教育の体験・独自性・自己主張すること
・コミットメントするということ、チャレンジ精神
・真の「プロフェッショナル」の意味
・創・工・商の三位一体(IFIビジネススクール設立の基本理念)
を実現するための人の重要さ - person to develop

■2.「ファッション・ビジネス」における『価値創造』

◇日本のファッション・ビジネスの誕生からこれまでの変遷、
・「作品」「製品」「商品」の含蓄
・『おしゃれな既製服』の時代から『ブランド』の時代、さらに『ライフスタイル』から『個 性』の時代へ
・・・ファッションは“時代の鏡”
・豊かさが育んだ欲求の変化=これまでは“欠乏”を満たす消費、これからは“自己 実現”の消費。

◇ファッションビジネスの現状とこれからについて
『個客』の時代の価値創造(豊かさや情報化社会が生み出した 個客 )
ポイントは 『ソリューション』と『エモーション』
・『New Normal』時代の到来・・・新たな価値は『感性価値』へ
商品は売るもの、買っていただくだけのものではない、これからはどう活かしていただくかを考えることである。

■3.『感性価値』の創造と海外発信  ――ファッション・ビジネスの視点から

◇「コンテンツ」だけでなく「コンテキスト」のコミュニケーションが重要
『感性価値』は文化そのものに根ざす。海外発信には、その価値をどう見立てるか(どのように取り込んでもらうのか)どうやって価値のあるものにするのかが重要。
そのためのポイント
・日本の感性価値の独自性を見つめ直すこと
・海外の評価:Cool JAPAN
その他NYでの実例から海外の目から見ているからこそできる「コンテキスト」、文化・哲学を総合パッケージとして伝える事例(EATALY N.Y.)をご紹介いただきました。

◇『感性価値』のマーケティングとマネジメント
『感性価値』は機能などとは違い、フィーリング重視の点もあるため難しい領域である。
『感性価値』は売るものではなく、インバウンドしてもらうということ。
時間をかけて努力し、我慢強いマネジメント・戦略を必要とする。


『感性価値』のマーケティングとマネジメント
不可欠なもの :Contents・Context・Customer・Communication(双方向)


■最後に 「21世紀はクリエイティブ・クラスの世紀」
・クリエイティブ時代の企業事例の価値創造とマネジメント(Urban Outfitters)
クリエイティブな人材が、楽しみながら企画・販売するコミュニティ
・“Different” (書籍・ハーバード・ビジネススクール ヤンミ・ムン教授)の
紹介ビデオ
”Different: Escaping the Competitive Herd”  http://www.youtube.com/watch?v=f7G8HExglLs

Different = Creative
ビジョンと自信を持ってクリエイティブ・クラスの世紀へ・・・

以上、女性としてキャリアを積んでいらっやるパイオニアでありながら、とても素敵でチャーミングな面にも触れさせていただきながらお聴きできた時間でした。

私自身ファッション・ビジネスに携わる中で、今後、より豊かな価値を創り出すことができれば・・・ということがSTRAMD受講の動機でもありました。また、仕事上や日常、意識をしていることと重なる点も多くあり、大きな勇気をいただいた思いでした。
講義が始まってから数週間、そして、まだ若いSTRAMDですが、受講者皆でビジョンを共有して何かを起こしたいという気持ちが見えて来ています。全てのことが学びながら自分自身を見つめ直すことにも繋がっていく・・・貴重な時間です。

(2011.4.27 記)

《STRAMD》

ローディング中