2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

Webビジネス-次の10年

日付
2011年05月21日 19:00~
場所
東京ミッドタウン
概要
2011年WEBデザイン賞受賞作について聴く
受講生の感想

記:井尾 佐和子

第11回 記:西佐和子

中川直樹さんのことはストラムドに通う前から存じ上げていた。

どこでか?

現在PRや、コミュニケーションツールとして仕事でも話題に毎日のように上がっているtwitterの中。
アイコンの写真はなんともファニーで会った事も無いのに私は「きっとこの人面白い方なんだろう。。。」
そう感じてフォロー申請をさせていただいていた。

そんなtwitterから出会った中川先生に、こうしてストラムドを通じて会えることになるとは。。。
これが、一つの現代のコミュニケーション(出会い)の形といえるのか。

私は、会社を設立したばかり。

今一番比重の大きい仕事はWEBサイトを活用してコミュニティをつくり商品やサービスを訴求するという仕事を自社で企画したり、提案したりさせていただく事。
「世の中には一番重要なコンセプトや、理念を無視している企業や、プロジェクトがどうしてあるのか?そうしたことが使い捨て社会へ? それなら会社を成長させて社業を通じて改善したい」
少し長期的目線で何か社会貢献がしたいと考えて無謀にも起業した。
(もちろん他のことも影響していますが)

でもそんな中で今ストラムドでCIの事例に学びながら、1mmでもビジョンに近づいて行きたいと必死な中で、今一番聞きたい事の一つが、いろんな方の起業ストーリー。まさにアンティー・ファクトリーの創業当時の中川直樹社長の話はこのタイミングで聞かせていただけた事は本当に光栄な事だしタイムリーだと。

そんなマインドで話を聞いていた私の感想文は鼻息の荒い物になっていたら失礼します。

さて、講義は走って会場に到着した中川さんは軽快に準備をし
さすが多くの受注を抱えておられる会社の社長さんだなぁと、あこがれのまなざしはお昼にうかがった会社訪問が影響していることは間違いない。(水野さん小島さんの根回しのセンスの良さがキラリ)

中西先生からの紹介
「中川さんとの出会いはWEBデザイナーズ協会の顧問をしている事からはじまり、自分が審査をし中川さん(アンティーファクトリー)が賞を受賞したこと、そして会長になられ、ストラムドの生徒であったという事。
ストラムドでは一番詳しい人が先生になればいいという、先生徒(せんせいと)という言葉を使っていますが、そういう考えのもと、今日は中川さんがストラムド卒業生第一号の先生です。不思議な事に、1回目小原さんと同じようにNYのFITのご出身でいらっしゃることもご縁ですよね」

先生は幾度と、人のご縁の大切さ、不思議さを講義内でもおっしゃられている。

私が中西先生に突然会いにいけたのも、単純に無鉄砲な性格だということではなく、間に一人、重要人物の女性社長の存在があったからである。彼女に出会っていなければ、会いにいく勇気を持てたかどうかはわからない。中西先生のおかげで、そういうご縁の大切にする心を学び、ストラムドのメンバーとも単なるクラスメイトとしてだけでなく今後も何か同じミッションをもってつながっていけたらといつも考えている。

【WEB業界に見る次の10年を生き抜くためのヒント】
『JWDA WEB DESIGN AWARDから見るWEBサイトの潮流』
と前半は JWDA受賞サイトのご紹介をしていただく。
審査基準にストラムドに通じるものを感じた。
「デザインの精度の高さだけではなく、アイデア、社会貢献度、などなど 地に足の着いた基準で選んでいる」とのこと。
これをストラムドでいうところの 「表層的なデザイン」だけでなく「見えない部分のデザイン」が重要という事かと私は捉えられるように思った。

-----------以下が中川さんの解説付きの受賞サイトです----------
■おらほの屋
http://orahono.com/
地域貢献に役立てると同時にブログ形式のサイト構築で運営を楽に。
そして販売収益もあげている。
(こうして自社で商品を通販したい方は弊社への相談もあることですが、どうしても運営をお客さんがすることになると運営がおろそかになり売り上げがなかなか伸びない事が多いので、このサイトの更新のしやすさと、コンセプトがしっかりしているという、あたりまえで難しい事がきちんとできている事の素晴らしさを感じました。)

■キャノン
http://web.canon.jp/Camera-muse/design/making/
3Dや音声ナレーションなどを多分に使い高品質のプレゼンテーションを実現したサイト
(滞在時間がとても長くなりそうなサイトだ。)

■コンパde Piace
http://www.pa1.jp/
Webという技術を持ってリアル社会上での人と人をつなげる。レストラン産業の活性化にも役立たせている。
(WEB上でコンパしたい人、参加したい人、開いて欲しいお店をつなぐという理にかなったサイトですね)

■資生堂MAJOLICA MAJORCA
http://www.shiseido.co.jp/mj/
日本を代表する企業のブランドサイト。ユーザビリティ以上に商品のもつ世界を訴求しつづけるサイト。
コミュニティ醸成のためにソーシャルメディアも有効的に利用している。
(個人的に毎回楽しみにしているサイトです。化粧品の色がリアリティにこだわるというよりも世界感に入れてしまっているという点がそのブランドのコンセプトと通じているのかもしれない?と感じました。本当に女子がわくわくする魅力的なサイトですよね)

■写し鏡
http://sour-mirror.jp
ソーシャルメディアのアカウント、コンピュータ附属のカメラを利用し、ミュージシャンとミュージックビデオを見る消費者をつなげ合わせた演出。
技術の高さはピカイチです。
(sour 知り合いの事務所のミュージシャンだったのですが最近、いろんなとこで名前を聞くのはこうしたセンスの良いWEBやPVの表現も話題(人気)になっている秘密だったのですね)

■大林組
http://www.obayashi.co.jp/experience/
大手ゼネコンのコミュニケーションは通常B to Bが基本となりがちなのに対し、一般の人にも大林組の活動を認知してもらうため、ハイセンスなムービーを取り入れたスペシャルサイトを展開。インタラクションと映像、音楽を融合させて表現し、アート感のある印象を与えつつ、大林組の竣工物を通じて時代の流れを体験してもらえるようなコンテンツ。
(中川さんもおっしゃられていたように、ながら見できるサイト。でも見ているとどんどん引込まれていきますね~)

■みどりとこどものまち(WONDWE GREEN PROJECT)
http://www.wondergreen.jp/
ジオラマ自社で実験サイトをつくった。それが広告主の目にとまり、実績に繋がった。
受注産業である産業構造に転換し、新たな需要を創造した事を評価。
(自社企画サイトが広告になるという事はわかっていながら自分の事は後回しになりがちなので、この事例はとっても心あらたまりました)

■iPadプレゼンテーション
http://invogue-web.net/ipad/
(※iPadから閲覧いただくとiPad専用画面にいきます)
加速度センサーを利用したlandscapeモードでは、実績一覧をコンセプチュアルなビジュアルイメージで高解像度を活かし美しく、他方portraitモードではアクセシビリティに優れた一覧性を表示する切り替え式を採用。
またiPadアプリを参考に、ウェブでも直感的に操作できるようベーシックな操作性に着目しタッチスクリーンの操作に優れたボタンの大きさや形状・配置に配慮。
(iphoneやipadの縦位置 横位置が変わる事の驚きはすごかったですが、ここまで技術的な難しさをクリアにしてデザイン優先で作られていると本当にうれしくなりますね)

■家ガール
http://ie-girl.com/
『家ガール』という言葉がトレンドに。サイト公開初日にはてなブックマークでホットエントリ入りし、『家ガール』という言葉はgooの注目キーワードTOP10入り、全国複数のラジオFM局(東京FM、ZIP-FM、FMPORT、他多数)にて紹介されるなど公式サイトの登場とともに『家ガール』というキーワードがTwitter、Web上にて広まった。またサイトからは公開から1ヶ月で8500件を超えるTweetを記録。家ガール川柳では10日間で700以上の川柳がTwitter上で詠み上げられ、家ガールレシピは10日間で約100のレシピが投稿されいます。
(カヤックはアンティー同様とっても有名な会社ですが、自社のサービスHOUSECOもうまく絡めているあたりが素敵なしたたかさも垣間見えるように感じました。世界感を売って商品の購買につなげるという狙いの成功事例なんですね)

■チキンラーメン
http://www.chikinramen.jp/
http://www.chikinramen.jp/chikirars/ehon/
http://itunes.apple.com/jp/app/id404537588?mt=8
本サイト、iphoneアプリ、チキラー島と仲間達。老若男女問わず、アプローチに成功している。食育への取り組みなど商品の宣伝のみにとどまらない。圧倒的なクオリティの高さ、多面アプローチと多才な方法論から大きな収益へつながったとの事。
(本当にゲームの世界でのようですね!子供の間で話題になり、「これあのサイトのラーメンだよ」なんてスーパーで欲しがる子供の顔が浮かびました)

【ブラウザの時代は終わった】
中川さんの好きなマイクロソフトのムービー
http://www.youtube.com/watch?v=3KnIJoHibiQ
こちらを皆で鑑賞

XY軸のみの表現が今は奥行きZ軸も加わった
クリックはマウスではなく手でタップへ
『ゲームの進化論』
ゲームの世界は 座っていた子供達をWiiは立ったり動いたりさせた
そして世界の友達とゲームを楽しめる時代へ
『WEB閲覧環境/インターフェイスの進化論』
PCとマウス→モバイル→多感度センター→ユビキタス

『ここ数年のWEB業界の動向』
●すべてはオンライン化する
●コンピューティングはクラウドに移行する
●すべてはローカライズ化される
●すべてのマーケティングはデジタル化する

『機器、環境はイノベーションとともに変化しているけど、得ている物(コンテンツ)の本質は実はさほど変わっていない』
これは聞けて大変うれしかった。
お客さんの一部の方は手段に左右されて本質を見失っているかたも少なくないように感じていたからです。Twitterやらfacebookをつかっているから売れるのではなく、良い商品やサービスがあってはじめて、うまくソーシャル活用することで認知してもらうという順番ですよね!魅力的なサービス・商品であることがWEBや環境が進化した今もずっと昔も一番重要ということですよね。

『情報、娯楽エンターテイメント(ゲーム・音楽・映像)
ラッキーな事に表現方法も既に出尽くしている→
では変わっている事はインターフェイスデザインと操作方法である』

確かにそうですね 本だって、紙だったのか、ページを画面上でめくるのかという操作の変化。

『ソーシャルアプリ/ブログを超える新メディア』
facebook Zinga
mixiアプリ アメーバピグ アディクト性 小額決済

『ヒューマンセンタードデザインHCD』
使う側に思考を求める事なく直感的に操作できるようなインターフェイスデザインを意識する事の重要性
具体的には●ユニバーサルデザインフォントの必要性●ユーザーエクスペリエンス●ユニバーサルデザイン

ここで私が響いたお話「インターフェイスデザインはプロダクトデザインだし、コンテンツデザインは広告やエディトリアル、動画などの知識が必要、よってアプリが進化し、プロでなくても作れる事は作れるがやはり、プロの知識とデザイン力が必要になってくる。」ということ。
テキストや写真は流し入れれば作れるかもしれないが、無意識でも見ただけで魅了されるようなサイトは訓練のされたプロにしかできない領域だと考えていたからです。まだまだ「自分でもWEBは作れるんですけどね。。。時間がないのでお願いしたい」みたいなことをおっしゃるお客さんは少なくないので、「そうだ!」と心の中でつぶやいていしまった。

『時代のキーワード』
2006:Design →2007:Experience→2008:Software+service→
2009:userExperience→ 2010:3screen&1cloud →

『2011:ソーシャル、スマート、脱ブラウザ
ここからどんな想像をするか そして、仕事の領域となりそうな事を考えだす』


大学時代に一日中女性の癒しを満喫できる「ファッションとビューティの商業施設」を企画したことがあります。その施設のお買い物はお会計が最後に出口で一括できるようなプロダクトを提案したことがありますが、それも普通に出来る時代になっているということか。さっそくposシステムの会社に提案にいってみよう!
あとは展示会でつくらせていただいた映像コンテンツも見せ方を来期は脱ブラウザ化する事を提案してみよう!
この話題のおかげで2つも提案内容を思いつく事ができた!
こういう流れをつくれるセミナーは本当に満足度が高いものなんですね~
以前中西先生も「ストラムドの授業は体系的でなくて良いとおもっている」とおっしゃられた意味が少しわかりだした気がします。

中川さんの講義はまさに視点を伝えて答えを自分で考えてみるという流れだった

『未来のショップ店頭など』
●例えば 液晶パネルの前を歩くと洋服を着た自分が映っている
●例えば 試着した鏡の前に立つと横に好きな俳優が立っている

これは今でも映像のながれるフィルムをはっているショウウィンドウや、試着を鏡の前にたつだけで試着できる画面とかは実際採用されていますがそこに+アルファーされていて聞いているだけで楽しかった。
イコール購買に結びつく確立もあがりそうですね!特に衝動買いの性質のある女性達には!

『これからの良いWEBデザインって?』
1期生の野田さんの会社のつくる PGCDというせっけんは 使うほどに自分の手になじむ石けんをコンセプトにあえて大きなデザインになっている。
→同じように使い込む、馴染むWEBって作れないものだろうか?

なるほど~!
わたしがおもったのはどこか一部自分でカスタムしたり成長させるコンテンツがあったりそんなことかなぁと?皆さんはどんなアイデア浮かんだだろう?

『WEB業界から見た これからの10年を生き抜くための心得5か条』
0.リマインド=ブラウザの時代はおわった!
1.クラウドコンピューティングがもたらす可能性を熟考するべし!
2.時代のキーワードを拾え!
3.コンテンツは変わらない 変わるのはUIと接触環境だ!
4.コモディティではなく スペシャリティである事
5.Always break a general idea!
新しい技術や手法の中から、人に役立ち、社会貢献できる。そんなソリューション、目からウロコが落ちるような「はっ!」とするアイデア常識を軽々と乗り越えるアイデアを出しましょう!とのこと

この部分は すっごくきゅんとしました。いつも思う・・・
スキルや技術や知識は人の役に立ってお金に変わるものだと。
しかもそのアイデアが社会のためになり、誰かの人生に良い影響を与えるきっかけになる事だってある。
そんな企画がたてられる会社になるぞ!

アートを学ぶ中川さんが広告の中のアートやエディトリアルのかっこよさに魅了され、デザインの世界にはいっていく、
日本に戻り、自分が正しいと考える事を全うし、会社へ新しい部署の設立を直談判! それでも賛同してくれない会社を飛び出して、自宅で当時の同僚の方と仕事をスタートしこれまで成長しつづけてこられている。
自分の感覚をとても信じてこられ、迷いなく突き進んでこられたように感じ、
このサクセスストーリーはわたしの感情の波が激しく波打っていた!(EMORVがいう「感情の波を創造する」というのはまさにこういう感じのことです)

講義というかライブ!終止 ドキドキ ワクワクをありがとうございました!

この講義を受けて
高間さんよりご紹介
DOCOMOの制作された2020年の未来
http://www.youtube.com/watch?v=Z4jO6mrzk9I

中川さんよりご紹介
http://www.youtube.com/watch?v=kCZz4jFok_o


(2011.5.25 記)

《STRAMD》

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